「またスタッフが辞めてしまった……」
理由を聞いても「一身上の都合」の一言で終わってしまう。
本当の原因が分からないまま、また求人を出す。この繰り返しに、疲れを感じていませんか?
スタッフが次々に辞める歯科医院には、必ず原因があります。
しかし、多くの院長はその原因をそのままにしていることがほとんどです。
本記事では、歯科衛生士11年目の臨床経験を活かし、リアルな退職理由を実例とともに掘り下げ、院長が今日から実践できる具体策を提示したいと思います。
歯科衛生士が辞めるリアルな理由 実例3選

退職理由① 人間関係の悩み
院長の言葉がきつかったり、スタッフへの態度が厳しくなることで
スタッフは質問しにくいと感じてしまい、コミュニケーション不足に陥ります。
その結果、かえってミスが増え、悪循環が生じます。
「話しかけやすい院長かどうか」は、定着率に直結します。
実際なぜ、やめたくなったことがあるのかThreadsで問いかけてみたところ
ドクターの態度や言葉が原因で辞めたいと思う方が多くいました。

退職理由② 労働条件が見合わない
長時間勤務、休みがとりにくい、給与が他と比べて低い、となると離職につながるだけでなく就職してもらえないといった状況になりやすいです。
院長に直接交渉しにくい給与面で満足せず辞める方も多いです。

退職理由③ 「自分が必要とされているか分からない」
人が職場に留まる理由のひとつは、「自分はここで必要とされている」という感覚です。
評価されない職場では、努力と報酬の間に見えない壁があり、やがてモチベーションは低下していきます。
私自身も退職を考えた際、引き留めてもらえたことで「あ、必要とされているんだ。それならもう少し頑張ってみよう」と思った経験があります。
離職率を下げる3つの仕組み
離職率が低い医院に必要なこと=働きやすい仕組みを作っていくことが重要です。
仕組み① 教育体制の整備
教育体制とは、スタッフに「何を、いつまでに、どこまで」を明示することです。
マニュアルとチェックリスト、教育スケジュールを整備するだけで、新人の不安は大幅に軽減されます。
| 実践ポイント 入職初日に「3か月チェックリスト」を渡し、何ができればOKかを明示する。 チェックを入れる作業が成長の実感につながり、安心感と自己効力感を育む。 |
仕組み② 定期面談の設計
月1回、15〜20分の面談を設けるだけで、離職率は変わります。
不安や悩みは「言える場所がある」だけで軽減されるはずです。
| 面談のポイント 「最近どうですか?」ではなく「今一番大変なことは何ですか?」と聞く。 困りごとに焦点を当てることで、本音が引き出しやすくなります。 |
仕組み③ 感謝・共感する
離職理由の多くは人間関係です。
そして、人間関係を改善するために最も重要なこと。
それは、感謝を伝える、共感する姿勢を持つことです。
特に歯科医院は、女性が多く働く場所です。
文化庁「平成24年度 国語に関する世論調査」2013年の研究結果によると、男性と比べ女性が深いと感じる理由が「自分に対する理解や配慮の欠如」というデータがでています。
全体的な男女差の傾向としてまとめると、コミュニケーションにおいて、男性では「相手が発信する情報や態度の悪さ」が女性よりも不快ととらえられるのに対し、女性では「自分に対する理解や配慮の欠如」が男性より不快ととらえられるようである。
引用元:研究開発室
理解や配慮を深めることが離職率低下に繋がるといえます。
| 今日から試すこと 業務終了時に「今日も一日お疲れ様、〇〇さんが△△してくれて助かりました」と、具体的な行動に対して感謝を伝える。 |
多くの院長は「うちは特別問題はない」「普通に接している」と思っています。
院長が「普通」と感じていることが、スタッフにとっては「話しかけにくい」「怒られるかもしれない」「必要とされていない」という感覚として映っている場合があります。
重要なのは、院長が悪いのではなく、仕組みがなかっただけということ。
仕組みは今日から作ることができるので、ぜひ仕組みづくりから始めてみてください。
院長のための離職防止チェックリスト
以下のチェックリストを活用し、医院の現状を確認しましょう。
一つひとつ確認することが、スタッフが定着する医院への第一歩になります。
① 教育体制チェック
| □ 入職時に教育スケジュールを渡している | □ 教育担当者が明確に決まっている |
| □ 業務マニュアルが整備されている | □ 定期的に教育内容を見直している |
| □ チェックリストで習熟度を確認できる | □ 新人が質問しやすい雰囲気がある |
② コミュニケーションチェック
| □ 月1回以上、1対1面談を実施している | □ 感謝の言葉を具体的に伝えている |
| □ 面談でスタッフが本音を話せている | □ スタッフの話を最後まで聴いている |
| □ 院長から日常的に声かけをしている | □ 忙しくても挨拶・返答を欠かさない |
③ 評価・役割チェック
| □ スタッフの役割と担当業務が明確 | □ 頑張りが給与や待遇に反映されている |
| □ 評価基準が文書化されている | □ スタッフが「成長している」と感じられる |
| □ 昇給・昇格の条件を全員に説明している | □ 医院の方針・目標を全員で共有している |
④ 職場環境チェック
| □ 院長から注意する際は個室で行っている | □ 業務量が特定のスタッフに偏っていない |
| □ スタッフ同士の関係性を把握している | □ 院内のルールや基準が統一されている |
| □ 休憩・休暇が取りやすい環境がある | □ 困ったことを相談できる窓口がある |
【判定の目安】
20個以上チェック:定着率の高い医院の土台ができている
13〜19個チェック:改善余地あり。チェックのつかなかった項目から見直しを。
12個以下チェック:早急な対応が必要。まず面談の導入と感謝の習慣化から始める
おわりに
歯科医院は、院長1人では成りちません。
スタッフが安心して働ける環境こそが、医院の売り上げに繋がり、患者さんの絶えない歯科医院を作り上げます。
離職率は数字でありながら、医院の空気を正確に映し出しています。
その空気は、院長の言葉・態度・仕組みによって変えることができます。
まずは、仕組み作りから始めてみてはいかがでしょうか。


コメント