
歯科衛生士として10年以上、多くの患者さんのお口を見てきた中で気づいたことがあります。
それは、「正しい歯ブラシを選べていない方が本当に多い」ということ。
でも、それは決してあなたのせいではありません。
情報が多すぎて何を基準に選べばいいのか分かりにくいのが現状だからです。
この記事では、歯科衛生士の視点から「本当に自分に合う歯ブラシの選び方」を、できるだけシンプルにお伝えします。
- 種類が多すぎていつも同じものを選んでしまう
- 歯ブラシの硬さの違いがイマイチよく分からない
- とりあえず高いものなら良い歯ブラシなのかな?と思ってしまう
そんな方のために、歯科衛生士の視点から「本当に自分に合う歯ブラシの選び方」をお伝えします。
硬さで選ぶ人が多い?
歯ブラシを選ぶとき、パッケージの「ふつう」「やわらかめ」「かため」という表示を真っ先に見る方がほとんどではないでしょうか。
これには理由があります。
それは、パッケージで一番目立つ情報だからです。
さらに「硬い方がよく汚れが落ちそう」という思い込みも根強く残っています。
確かに、硬めの歯ブラシでゴシゴシ磨くと「磨いた感」は得られます。
でも、それが本当に正解かというと実は違うケースも多いのです。
昔から使っている硬さを何となく選び続けている方も少なくありません。
「これで問題なかったから」と思っていても、実は歯ぐきが少しずつ下がっていたり、知らないうちに歯が削れていたりすることもあります。
歯ブラシ選びのポイント3つ
「この患者さんにはどの歯ブラシが良いかな?」
と私たち歯科衛生士が最も大切にしているのは、1人1人のお口の状態に合わせてブラシ選びはかわるということです。
そのため同じ患者さんでも、今月と来月では勧めるものが変わる可能性があります。
身体の状態、お口の状態、生活環境によっても変わってきます。
そこで、自分自身で歯ブラシを選ぶときに意識してほしいポイント3つお伝えします。
ポイント①毛先の形状(先細orフラット)
歯ブラシの毛先には、大きく分けて「フラットカット」と「先細毛」があります。

【先細】
メリット
・歯と歯ぐきの境目に優しく入り込みやすい
・歯茎にフィットしやすく歯周病予防に効果的
デメリット
・毛先が細いので歯茎下や間には入り込みやすいが歯の表面を磨きにくい
・毛が開きやすい
【フラット】
メリット
・歯の表面をしっかり磨きやすく汚れも落ちやすい
・簡単な動きで歯垢がとりやすい
デメリット
・歯と歯の間や歯茎の下には入りにくい
・歯周ポケットの汚れは取りにくい
選ぶ基準は「歯と歯ぐきの境目に当たるか」「優しく当てられるか」「力が入りすぎない設計か」の3つ。歯ぐきが敏感な方や、歯周病が気になる方には先細毛がおすすめです。
ポイント②ヘッドの大きさ
ヘッドが大きすぎると、奥歯や歯の裏側に届きにくくなります。
特に口が小さい方や、歯並びがあまりよくない方はコンパクトヘッドが向いています。
逆に、ご高齢の方など細かく動かすのが困難で効率よく磨きたい方は、大きめヘッドの歯ブラシがおすすめです。
ポイント③持ち手の太さ・滑りにくさ
意外と見落とされがちですが、持ち手の形状も大切です。
無意識に力が入りやすい人ほど、太めでしっかり握れるタイプよりも、細めで軽く持てるタイプの方が適していることがあります。
持ちやすさは、そのまま磨きやすさにつながります。
実際に手に取って、握ったときの感覚を確かめるのが理想です。
お口の症状別!オススメ歯ブラシ
ここからは、よくあるお口の悩み別に、どんな歯ブラシが向いているかを紹介します。
歯ぐきがしみる人のケース
冷たいものがしみる、歯ブラシが当たると痛い…という方は、歯ぐきが下がって象牙質が露出している可能性があります。
ブラシ圧が強い可能性があるのと、染みている部分に硬いブラシが当たると余計に痛みが出やすいです。
この場合は、「やわらかめ」~「ふつう」で「先細毛」のタイプを選ぶと良いでしょう。
力を入れず、優しく小刻みに動かすのがコツです。
歯が揺れている所が多いケース
歯が大きくグラグラしている箇所がある場合は、刺激を最小限にすることが優先です。
ヘッドが小さいものを選び、やわらかめ~ふつうの硬さで1本1本丁寧に磨くようにしてください。
よく血が出る人のケース

歯磨き中に出血がある方は、歯周病の可能性が高いです。
健康な歯茎であれば歯磨き中に出血はありません。
出血を怖がって磨かないのは逆効果。
出血があり痛みを伴う場合は、歯茎に強い炎症があると考えられるためやわらかめの歯ブラシを使用しましょう。
また、細先タイプの歯ブラシを使用し歯と歯ぐきの境目を優しくマッサージするように磨きましょう。
出血がなくなってきたらふつうの硬さに変えましょう。
続けることで徐々に出血は減っていきます。
歯並びが良くない人のケース

歯が重なっている箇所がある、八重歯があるという方は、ヘッドが小さく、毛先が細いタイプが便利です。
小回りが利く歯ブラシがおすすめです。
角度を変えながら当てることで、凹凸にもフィットしやすくなります。
まとめ
歯ブラシ選びで迷ったら、まず自分の歯ぐきの状態をチェックしてみてください。
出血しやすい、しみやすい、下がりやすい…こうした特徴があれば、それに合わせた硬さや形状を選ぶことが大切です。
そして、迷ったら歯科医院で相談しましょう。
歯科衛生士は、歯ブラシ選びのプロです。
「ちゃんと選びたい」という姿勢は、とても前向きなことです。
自分に合った一本を見つけることは、毎日の健康習慣を支える第一歩。
ぜひ一度、じっくり選んでみてくださいね。


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